群馬と栃木と埼玉が共に集う「三県境」という「地図上の観光地」は今どうなっているのか


本当は「目に見えない」はずの、この不思議な観光地を訪れてみました。詳細は以下から。

この地球上に国境線という線が描かれている訳ではなく、人間が勝手に決めただけのもの。こうした意見は古くから存在していましたが、その勝手に決めた線の境目が観光地になるという不思議な場所が日本には存在しています。
既に何度もニュースなどで取り上げてられているその場所は群馬県と栃木県、そして埼玉県という3つの県の県境が1ヶ所に集まる「三県境」と呼ばれるもの。
日本国内には数十ヶ所のこうした三県境が存在していますが、そのほとんどは山奥に存在しており、簡単に足を運べる場所ではありません。
そんな中でこの北関東三県の集まる三県境は平野部にあり、自動車や電車でもアクセスが容易なことから大きな話題となりました。
この3つの県の境界点は明治から大正にかけての県境の川の埋め立てによって曖昧なままに放置されてきましたが、2015年に群馬県東部板倉町は栃木県栃木市と埼玉県加須市と共に測量を行って境界点をはっきりと確定させることを発表。
最初は田んぼの中のポイントでしかありませんでしたが、その後周囲が小さな公園に整備され、観光地として認知されるようになりました。さて、この不思議な観光地は今どうなっているのか、現地を訪れてみました。
三県境があるのは足尾鉱毒事件の鉱毒を沈殿させて無害化するために作られ、2012年にはラムサール条約登録もされた渡良瀬遊水池のすぐ隣です。最寄りのICは東北自動車道の館林IC、電車なら東武日光線の柳生駅です。
自動車で来た場合、三県境に正規の駐車場がないため、まず道の駅かぞわたらせを目指します。36度を超える猛暑日でしたが駐車場はかなりいっぱいになっていました。

道の駅の建物前にこのがっつり三県境推しモードの看板。ここに来るだけで「三県制覇!!」できるというチート級のライフハックが何気なく書かれていますね。

そして建物1階には三県境ショップの「さいぐんと」が。某「おおぐんたま」を思い出しますが、3県なのでこちらの勝ちです。

ここではその名の通り群馬・栃木・埼玉の名産品をいろいろ買えます。栃木県民のソウルドリンク、レモン牛乳もしっかり売られていました。

そして湧きに回ると「恋人の聖地 道の駅かぞわたらせ」ののぼりが。どういうことだってばよ。
いぶかしがりつつ建物の屋上に上るとこんなインスタ映え間違いなしのオブジェが…。うーん、いいんですけどね。

なお、後ろに広がる湖は渡良瀬遊水池の谷中湖です。文字通り目の前ですね。


そして地図上ではこちら側に三県境があるはず。激暑いですが行ってみましょう。

建物の側面に標識がありました。
長めの階段を降りて向かいます。
標識はしっかりしているので迷いませんが、懐かしさすら感じるのどかな田舎道です。日陰はないので夏はしっかり帽子と飲み物を用意しましょう。
堤防沿いから離れて右折します。
蝉時雨と夏草の匂い。原風景っぽさがありますね。
味のある優しい手書きの看板もところどころに。
畦が踏み分け道になっていました。この先のようです。
想像以上にしっかりと公園になっていました。

公園のある手前が栃木県、右奥が群馬県で左奥が埼玉県です。

この水路の真ん中が三県境ということになります。

しっかり書いてありますね。

単なる田んぼの中の地図上の境界にすぎないはずなのに、なぜかぐっと来るものがあります。この暑さにも関わらず、取材班がいる間も絶え間なく観光客が訪れては写真を撮っていました。
ここが三県境になった歴史や経緯を書いた手書きの看板がいい味を出しています。もともとここは川の合流地点でしたが、渡良瀬遊水池の造成と共に流路が変更されて廃川となり、民地として払い下げられて埋め立てられ、耕作地になったとのことです。

日本の近代化の中で足尾鉱毒事件が起こり、その鉱毒の処理のために渡良瀬遊水池が作られたことを考えると、ここにこの形で三県境があることは近代史と切っても切り離せないお話ということになります。
公園内にはカメラやスマホでの自撮り台が設置されています。角度も計算されていてとても親切設計です。
他には三県境スタンプに三県境ノートも。シンプルで手づくり感が溢れていますが、聖地感に溢れていますね。

なお、この三県境のすぐ脇には駐車可能なスペースもありましたが正式な駐車場とは表記されていません。車椅子を利用したり身体の弱い人が同行している場合以外は道の駅の駐車場を利用した方がよさそうです。

どうせ行っても何もないのでは…と期待値が低かったからか、この三県境はいろいろな意味でとても面白く感じられました。実際に訪れる人も多く、予想以上の賑わいを見せています。
地図上にのみ描かれているラインが近代史とも連動し、観光地になるという成り立ちもユニークで、地図や歴史好きのみならず、不思議な満足感を得られる観光になりそうです。

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