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December 2018

  • 硬派スポーツ雑誌の元祖『Number』、文藝春秋から産声【創刊号ブログ#6】

      単なる「雑誌好き」から、私は「創刊号マニア」かもしれない…そう考えるようになったのは、この創刊号を手にした時からだろうか。そんな思い入れがあるため、この一冊の紹介はもっと後まで温存しておこうと考えていた。  しかし、このブログも今後どう体制が変更になるか不透明のため、いきなりエース級を登板させる。  『Number』は現在も発行され続けているスポーツ雑誌である旨、解説の必要はないだろう。1980年4月20日号、『スポーツグラフィック・ナンバー』として創刊。   この創刊は同時代的に記憶に残っているために、ことさら思い入れが強い。中学3年になる頃、幼馴染のウチへ遊び行くと、壁にどでかく「Number 1」と記されたポスターが貼られ、それには王貞治が大きくフィーチャーされていた。もちろん「1」と言えば、想起されるのは王である。王は1979年、一本足打法となって以来、初めて打撃主要3部門のタイトルをすべて逃し、「晩年」という文字が頭をもたげて来るシーズンだった。  しかし、この「ナンバー1」のキャンペーンポスターは、特大であり、ポスターの中の王からは、鬼気とした迫力さえ感じられ、圧倒された記憶が残っている。なにしろ1978年のシーズンには前人未到の800号本塁打を達成したばかり。「まだまだ王はやれるに違いない」と昭和の中学生に思わせるのは十分だった。余談だが、私は王の799号ホームランをこの幼馴染と後楽園球場の外野スタンドで目撃している。   結局、王は1980年のシーズンを最後に現役引退。その記憶とともにナンバーの創刊も記憶に留まり続けていた。   発行人・編集人は岡崎満義。初代編集長である同氏は京都大学卒。『文藝春秋』、『週刊文春』などを経て、本誌で初めて編集長を務めた。文藝春秋社では常務、専務、副社長を歴任。退任した現在でも同誌WEBに寄稿するなどスポーツの論客ぶりを見せている。  創刊号には時折、「創刊にあたり」など決意表明が掲載されているケースも見られるが、本誌では目次の後、7ページ目にほぼ1ページを割き、岡崎のメッセージを掲載している。文春の並ならぬ決意の現れでもあろう。   創刊時はアメリカの『スポーツ・イラストレイテッド』誌と提携。「スポーツを写真で見せる」というそれまで日本にはなかった共通項を顕著に押し出している。   ポスターのイメージが強すぎたのか、私は長らく創刊号の表紙も王貞治だと思いこんでいた。ご覧の通り、ちょっと腰砕けになるようなサイバーパンク的なイラストなのが、この創刊号における唯一の不満だ。もっとも「サイバーパンク」の旗手とされたウイリアム・ギブスンの小説『ニューロマンサー』が出版されたのは、1984年であることを考えると、この表紙デザインは当時、最先端の文化…と考えるべきなのかもしれない。  巻頭は、スポーツ・イラストレイテッド出身のカメラマン、ニール・ライファーが収めた歴史的なスポーツ写真からスタート。モハメッド・アリが1966年、クリーブランド・ウイリアムズをKOしたシーンを天井のカメラから収めた一葉などスポーツ史を知る上で貴重な作品ばかりが並ぶ。   特集「中国に暴走族はいるか?」を寄稿しているのは芥川賞作家・丸山健二。こうした書き手のラインナップは、同賞を主催している文春ならでは。また故・山際淳司の手による「江夏の21球」は日本スポーツルポ史に残る傑作として知られる。創刊号からして、こうしたストーリーを産み落としてしまうあたり、さすが文藝春秋社。「文春砲」ばかりで話題をさらう今とは、時代も出版社も違う。創刊にあたりTV CMもオンエアされていたが、このルポのせいか、王ではなく、江夏が起用されていたと記憶している。  50ページ目からは、期待された王貞治のインタビューが「39歳11カ月 熱いスウィング」として掲載されている。王貞治というと、どうにも雲の上の存在と考えがちだが、このインタビューを読み込むと引退間際の王の苦悩が生々しく表現されている。  この年は「ドカベン」が南海ホークスに入団。今は亡き、香川伸行の初々しいルーキー姿のルポも目を引く。もっとも「ランニングとセックスの熱い関係」、「バスト社会学の研究が緊急課題!?」などという特集も組まれているのは、前時代における愛嬌としておこう。   現在発行されている本誌ももちろん読み応えはあるが、創刊時はモノクロ・ページが主流のため、より「読み物」雑誌として仕上がっている。   興味深いのは雑誌タイトル。表紙の題字をご覧頂きおわかりになる通り、私は『Number 1』までが雑誌名だと思いこんでいたのだが、『Number』が誌名であり、後ろの数字は発行号数だった。正式名称は、『スポーツグラフィック・ナンバー』。現在はこの号数は小さめに表記されているので、誤解を招くことはない。『Number 1』のほうがインパクトは強かったのになぁ…と少々ぼやく。実は毎号「Number 1」、「Number 2」、「Number 3」と数字を含め雑誌名としたかったらしいが、登録商標として認可されなかったという裏話を後日、耳に挟んだ。…

  • たまさぶろが独断と偏見で選ぶ2018年スポーツ十大ニュース

     2012年から勝手に続けているシリーズも今年で7年目。2018年もスポーツ界は大きな話題を振る舞い続け、たいがいは日本を明るく照らしてくれた。  ただ残念なことに、2018年ほどスポーツ界の膿が出続けた年もこれまでになかったのではないだろうか。 よって、今年の次点は「日本スポーツ界の膿」  これまでもスポーツ界において、暴力、パワハラ、セクハラなど日常茶飯事だったに違いない。しかし、東京五輪という大イベントを前に、各界に自浄効果が現れ、各種問題が浮き彫りになり、社会としてもそれを無視するわけにいかない構図に至った流れは善しとすべきだろう。  年明けからカヌーの日本代表候補選手がライバルの飲料に禁止薬物を混入させる…、世界水泳銀メダリストが後輩に暴力を振るった事件が発覚…、元ラグビー・オーストラリア代表選手がタクシー運転手に暴力をかます…と、いやな気分満点で1月はスタート。  すると日本レスリング協会の強化本部長・栄和人による伊調馨に対するパワハラが告発される。5月の関学対日大のアメフト戦では悪質な違反タックルが問題となり、監督兼日大理事の内田正人が処分を喰らう。8月には日本ボクシング連盟会長・山根明による助成金の不正流用が発覚、辞任。協会からの除名も承認された。自らを「男・山根」と表現するだけで、すでに「男」という冠は似合わない。あの年齢にして「男」とは他者からこそ形容されるべきものと自覚しないとは立派だ。  各界の騒動も酷かった。年明けから貴乃花親方の理事解任に始まり、第四十代式守伊之助がセクハラで辞職、大砂嵐が無免許運転で引退勧告処分、春日野部屋暴力事件、3月にも暴力沙汰が2件、「舞鶴市長救命土俵女人禁制事件」も忘れてはいけない。決まり手は、貴乃花部屋消滅騒動からの貴ノ岩暴力事件で引退…と、まぁ、いつから各界はワイドショーのネタ元になったのか。  初場所ではこうした鬱屈した思いを、稀勢の里が吹き飛ばしてくれる…と願うばかり。  気を取り直して、十大ニュースへ。  ニュースなどを眺めていると、平昌五輪での日本勢の活躍に焦点を当てていたりするものの、五輪が巡って来る度に日本勢が活躍するのは、ほぼルーティンのため他に譲る。よって十大ニュースは以下の通り。 第10位 国内初、卓球のプロリーグ「Tリーグ」がスタート  10月24日、まずは男子リーグが両国国技館で開幕。リーグは団体戦。開幕では水谷隼、張本智和を擁する「木下マイスター東京」が、「T.T彩たま」を下し歴史的白星を記録した。また翌25日には、女子リーグ開幕戦も同地で開幕。今後、どんな歴史を刻んで行くのか、いちスポーツ・ファンとして楽しみでならない。 第9位 ル・マン24時間耐久レースにて日本人が駆る日本車が優勝  6月6日に行われた第86回ル・マン24時間耐久レース決勝にて、中嶋一貴、フェルナンド・アロンソ、セバスチャン・ブエミがドライブしたトヨタ8号車TS050 HYBRID がトップでフィニッシュ。史上初となる日本車と日本人ドライバーを擁しての優勝となった。また小林可夢偉らが乗る同7号車も2位に入り、1−2フィニッシュを飾った。  クルマ関係者にとっては昨年、佐藤琢磨がインディ500を制した歴史的偉業に続く快挙。日本人根性丸出しで恐縮ながら、あまりにもニュースで取り上げられないため、敢えてここで。 第8位 桃田賢斗、世界バドミントンを制し世界ランク1位へ  中国・南京市で開催された2018年世界バドミントン選手権大会は8月5日に決勝が行われ、男子シングルスでは桃田賢斗(NTT東日本)が石宇奇を2-0のストレートで下し、日本男子選手として初の優勝を成し遂げた。また9月下旬には世界ランキングでも1位に付き、こちらも日本男子として初の快挙に。  桃田が違法カジノ店での賭博行為で処分を受け、リオ五輪を逃したのは2016年。日本社会の寛容さに気付かされるとともに、不祥事から2年での復活劇にはスポーツの力を痛感した。 第7位 スキージャンプの高梨沙羅がW杯通算54勝目の最多記録  高梨沙羅は3月24日、ドイツ・オーベルストドルフで行われたスキージャンプ女子ワールドカップ個人第14戦で、2017年2月以来の優勝を遂げ、男女を通じてジャンプW杯最多となる通算54勝目を記録した。  昨シーズンからなかなか表彰台のトップに立てず苦しい転戦が続く高梨ではあるが、今後のさらなる記録延伸に期待。 第6位 川内優輝、瀬古利彦以来31年ぶりボストン・マラソン制覇  4月8日に行われた第122回ボストン・マラソンで、「市民ランナーの星」と言われる埼玉県庁の川内優輝が2時間15分58秒で優勝。1987年の瀬古利彦以来、日本人として31年ぶりにトップでテープを切った。  当日は冷たい雨が降りしきるあいにくのコンディションの中、ややスローペースの展開に耐えた川内が粘り勝ち。マラソン大会と言えば「ボストン」、まだまだ多くの日本人選手がその歴史に名を刻むことを強く望む。 第5位 設楽悠太が東京マラソンで、16年ぶりに日本男子最速を更新  東京マラソンは2月25日に第12回大会が行われ、設楽悠太が2時間6分11秒で2位に入り、2002年のシカゴ・マラソンで高岡寿成が記録した日本男子マラソン最速2時間6分16秒を16年ぶりに更新。報奨金1億円ばかりが取りざたされたが、日本マラソン界に久々に差し込んだ明るいニュースだった。  蛇足だが、筆者は2007年の第1回東京マラソン事務局メンバー。実は同じこの大会で初めて東京マラソンにランナーとして出走、完走した。同じレースで日本新が生まれた感慨は非常に深い。「え? お前のタイムは?」って…、もちろん秘匿情報である。 第4位 大迫傑がシカゴ・マラソンでさらに日本新記録  シカゴ・マラソンは10月7日、第41回大会が開催され、「ナイキ・オレゴン・プロジェクト」に参加している大迫傑が2時間5分50秒で3位に入り、2月の東京マラソンで設楽悠太が樹立した2時間6分11秒の日本記録を上回り、記録を更新した。日本実業団陸上競技連合からもちろん1億円の報奨金が支給された。  …

  • 【2019年福袋特集】『ロモグラフィー』の35MMフィルムカメラ福袋(4999円)の中身がこちら! 今すぐ写真を撮りたくなる内容で元を取った感が満載!!

    お正月の行事にも色々あるが、楽しみの1つとなるのが福袋だ。今回は、フィルムカメラを取り扱う『Lomography』(ロモグラフィー)の福袋を購入したので中身をご紹介したい。 年末年始の思い出をスマホではなく、フィルム写真で残すのもオツではないだろうか。ということで、オンラインで注文した35MMフィルムカメラ福袋(4999円)の中身をお見せしていくぞ! ・『ロモグラフィー』の福袋(4999円)の中身 ・LA SARDINA カメラ ・Lomography Color Negative 400 ISO 35mm ・Freundschaftskarte Landscape 2 ※福袋なので中身が異なる可能性があります ・カメラが可愛い 送られてきた段ボールを開けると、まず目に飛び込んできたのはLA SARDINA カメラ。サーディン缶の形を模した外観がなんとも可愛らしくてオシャレ! 公式オンラインショップを確認すると、同カメラの別モデルであるカスタマイズ可能な「DIY Edition」が1万1828円で販売されていた。既に元を取った感が満載だ。 ・テンション上がる内容 フィルムが1本入っていたので、同梱されたカメラに詰めてすぐに撮影できるのが嬉しい。ロモグラフィーのカメラとフィルムは独特な写りをしてくれるので、今から現像が楽しみだ。 さらに、プリントした写真をメッセージと一緒に同封することができるレターセットも地味にテンションが上がる。 身近な人にも普段中々会えない人にも、これを機にお気に入りの写真を添付して手紙を書いてみようか、という気にさせてくれる。 以上3点が福袋の中身で、カメラや写真好きにはたまらない内容だった。ロモグラフィーでは、今回購入した『35MMフィルムカメラ福袋』の他にも『インスタントカメラ福袋』や『DIANA F+福袋』など数種類を販売している。 なお、東京・神田にある直営店でも2018年12月22日から福袋の販売が始まっているが、日にちが経っている上に12月28日から2019年1月4日まで休業している。オンラインで福袋を購入する場合、1月6日まで発送停止期間に入っているので7日以降の順次発送を待とう。 参考リンク:ロモグラフィー「福袋2019」、ロモグラフィー公式サイト Report:石井陽太 Photo:Rocketnews24.…

  • 中国経済は安定保持から緩やかな減速局面へ ~改革推進の副作用、米中摩擦の影響とマクロ政策とのバランス確保が課題~

    ◇ 本年3Qの実質GDP成長率は、前年比+6.5%と前期(同+6.7%)に比べて伸び率が低下した。これは、金融リスク防止政策の影響で、地方政府によるインフラ建設投資の伸びが低下したほか、耐久財消費が伸び悩んだことが主な要因である。 ◇ 国家統計局は足許の経済情勢について「穏中向好」(安定を保ちながら良い方向に向かっている)に替えて「穏中有進」(安定を保ちながら推移している)という表現を用いた。これは17年初以来1年半にわたり続いていた建国以来最も安定した経済情勢から再び緩やかな減速局面に入ったことを示している。 ◇ 米中貿易摩擦は本年7月以降激化しているが、対米輸出は関税大幅引上げ前の駆け込み輸出が全体を押し上げているため、マイナスの影響がまだ見られていない。 ◇ 足許の景気動向を前提とすれば、2020年までの経済成長率目標値の達成についてはあまり心配する必要がなくなったため、当面の経済政策運営は改革推進を優先することが中央政府のマクロ政策の基本方針とされている。 ◇ 来年の政策運営は、改革推進の副作用と米中貿易摩擦のマイナスインパクトをマクロ経済政策で吸収しながら、経済全体のバランスを確保するという極めて難しい政策調整が必要となるというのが中央政府のマクロ経済政策関係者の共通認識である。 ◇ 日本企業は今年、中国ビジネスへの取り組み姿勢の積極化が顕著で、日本から中国に出張してくる取引先企業関係者の人数が増えているのみならず、社内ランクの高い人の出張が目立っている。 ◇ 米国商会が8月末から9月初に実施したアンケートによれば、米中貿易摩擦で関税が引き上げられても、中国に進出している米国企業のうち全体の8割程度は製造拠点の移転といった生産体制の変更は行わない計画であることが明らかになった。 ◇ 米中貿易摩擦の激化にもかかわらず、中国国内の一般庶民の対米感情に変化はなく、米国は自由・経済発展・平和を世界にもたらした立派で尊敬できる国であるとの前向きな評価は変わっていない。トランプ大統領の政策はおかしいが、米国企業とは関係ないとの受け止め方が大勢である由。 ◇ 10月下旬に行われた安倍総理の中国公式訪問は、中国国内でも習近平主席、李克強総理らによる安倍総理に対する歓待ぶりがテレビ、新聞等各種メディアにより大きく報じられ、一般庶民の間でも親日ムードが盛り上がった。 全文はキヤノングローバル戦略研究所のHPよりご覧ください。 (2018年12月13日 キヤノングローバル戦略研究所「中国経済は安定保持から緩やかな減速局面へ~改革推進の副作用、米中摩擦の影響とマクロ政策とのバランス確保が課題~<北京・上海・広州出張報告(2018年10月21日~11月2日)>」より転載) Source: http://www.huffingtonpost.jp/feeds/japan/index.xml…

  • 年末年始に読みたい、仕事で圧倒的に役立つ5冊。主に、ネットメディアで働く人たちへ

    ここ最近、インターネットメディアが直面している課題とは何かを考えている。 表層的な課題はいろんな本で触れられているので、ここでは少し角度を変えて考えてみたいと思い5冊を選んだ。テーマは「ネットメディアの仕事で圧倒的に役立つ5冊」。ぜひ年末年始に手に取ってほしい。 (1)沢木耕太郎『作家との遭遇―全作家論―』 インターネットメディアが発展してから圧倒的に増えた職業の一つに「編集長」「編集者(エディター)」「ライター」がある。名乗れば誰でもできる仕事だが、名乗る以上にはプロとして「読む力」を求められる仕事というのが共通点だろう。 読むというのは一見すると誰でもできるように思えるが、それは違う。的確に読むというのは、何かを創ると同じクリエイティブな作業なのだ。ノンフィクション作家として新しい時代を切り開いていった著者が学生時代から現代に至るまで書いた作家論は「読むこと」とは何かを教えてくれる。 (2)高村薫『レディ・ジョーカー』 大げさに短い言葉で感情を刺激して共感を勝ち取る文章がインターネット上にあふれている。こうした文章は確かに面白いが、面白いだけだ。1回読めばもう十分だし、暇つぶし以上の価値を見出すことはできない。 文章を書くとはどのようなことなのか。エンターテイメントと圧倒的な筆力を両立させた高村薫から学ぶことができる。余計な言葉を一切使わずに、シーンを描き切る技術と観察力に圧倒される。物事を描写するとはどういうことなのか。基本はすべて、ここにあると言っていい。複雑な事象であっても、簡潔な言葉を重ねるだけで書けるというのは驚きでしかない。 (3)伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』 政治的な立場を問わず、正義感に燃えて「敵」を見つけて攻撃するというやり方を取る人たちがいる。この手の人たちは何かにつけ徹底的にやらないと気が済まず、自分たちに落ち度があっても認めたら負けだと思うらしい。 正義感自体はとても大切な感情だが、どこか余裕を失ってしまうと危うさに転化する。 危うさを知りたければ、この小説を読むといい。伊坂さんの作品はいくつか体系にわけることができるが、僕が好きなのは、本作に代表される管理や監視といった大きな流れの中で、なんとか個人が生き延びようとする作品群だ。 一人になってもなお生きていく指針になるもの。それを大事にしたくなる。 (4)ロバート・フランク『成功する人は偶然を味方にする』 会社でいかに大きな事業を任されたのか、最大で何PVを叩き出しか、ポジションを得るために自分はいかに努力をしてきたかという話を自慢げにする人によく出会う。この業界ではセルフブランディングが大事らしく、彼らは華麗な職歴とともにいかに自分がすごいかを語る。そんな人に出会ったときは、ぜひこの本を開いてほしい。 著者はコーネル大で教鞭を執る経済学者だ。「あなたがいまのポジションにいるのは、努力や才能ももちろんあるけど、やはり運に恵まれたんですね」。こう言われて、むっとするような人には注意をしたほうがいい。人は一般的に、成功は「自分の能力と努力」によるものであると評価する傾向にあり、逆に失敗する不運だと考える。だからこそ、成功はどこまでが努力で、どの程度が運なのかを見極める必要があるのだ。運を過小評価する人は「成功しない人は努力が足りない」まであと一歩のところにいる。 そんな人と一緒に働きたい? (5)糸井重里『インターネット的』 2001年に出版された一冊。そこから10数年、いやもうすぐ20年という時間が経っているにもかかわらず少しも古さを感じないのはなぜか。そこにインターネットの本質や可能性がすべて詰まっているからだ。 技術は常に変化していくけれど、体現されている価値観はそうそう変わらない。本質を捉えるとは、価値観を捉えることである。現状を嘆くだけでなく、変わらないインターネットの可能性を再認識する上で年末年始に読んでおきたい一冊だ。 Source: http://www.huffingtonpost.jp/feeds/japan/index.xml…