【現地レポ】築地場内の名店が「豊洲市場」で新たな1歩を踏み出す / 戸惑いながらも変わらぬ人情あふれる営業

2018年10月11日、ついに豊洲の新市場が開場した。移転に関してはこれまでにさまざまな問題点が浮上し、その度に議論が繰り返され、移転自体は難航したものの、ようやくこの日を迎えるに至った。

吉野家1号店をはじめとする、長年愛されてきた飲食店の多くも移転を完了しており、この日から営業を開始しているお店も少なくない。新しい飲食店の環境は一体どうなったのか? その様子をお伝えしたいと思う。

・寿司大は初日から行列

築地時代に場内にあった飲食店は、豊洲の3つのエリアに分けられている。青果棟には4店舗、管理棟には13店舗。そして、もっとも多くのお店が集結しているのは、水産仲卸売場棟に22店舗だ。ここには、喫茶店「センリ軒」や外国人観光客にも人気の「寿司大」。吉野家1号店は「豊洲市場店」に生まれ変わっている。

寿司大は初日にもかかわらず、築地時代と同じように店前に多くのお客さんが並んでいる。私が築地の店舗を訪れた時は外に人が立って待っていたのだが、新市場では丸椅子が用意されていた。

ちなみにこの日は、11時の段階で受付を終了している。

・店舗が完全禁煙

築地では店内で喫煙が可能だったお店も、完全禁煙になってしまっている。喫煙者の皆さんは利用時に注意して欲しい。その代わりに、このエリアのド真ん中に広い喫煙所が設けられている

一般的な商業施設では、喫煙所は施設の最端にある場合がほとんど。そんな中にあって、豊洲市場の喫煙所はアクセスしやすい。喫煙者にやさしい気がするのは、きっと市場関係者に喫煙者が多いからなのかも……

・カレーの名店中栄

カレーの名店「中栄(なかえい)」を覗いてみると、ここも初日から満席状態。朝から利用客が多かったらしく、ご飯を炊くのが間に合わない事態になっていた。店主は「ごめんなさいね。ご飯を蒸らすのに10分ほどお待ち頂くことになりますけど」と申し訳なさそうに言う。

待っている客は常連ばかりのようで、事情をよく理解している様子。誰もがにこやかに受け答えしていた。これまで培ってきた客との信頼関係が、移転初日に早くも発揮されているように感じる。

・定番の合いがけカレーと玉子スープ

さて、注文したのは合がけカレー(700円)。インドカレー・ビーフカレー・ハヤシライスから2種のルウを選ぶと、1皿に盛ってくれる。このお店の定番メニューだ。

一緒に盛られているキャベツの千切りは、カレーに絡めて食べるのがこのお店の流儀なのだとか。一緒に玉子スープ(レギュラー300円、小200円)を頼むのも、お決まり。

・キャベツをルウと絡めるべし

前金制なので注文後にお金を払い、ご飯が蒸らし終わるのを待つ。10分と言われたが、それほど待つことなくカレーが来た。

昭和を感じる、昔ながらの日本式欧風カレーだ。左にインドカレー、右にはハヤシライスのルウが乗っている。これをお店のしきたりに則って、キャベツをルウと絡めながらご飯と共にいただく。

カレーの辛味とハヤシルウの酸味、それにキャベツのシャキシャキとした食感が加わって、複雑にして奥深い味わい。平成最後の年、それも新市場の真新しい施設に居ながらにして、古き良き昭和の記憶がよみがえる。玉子スープは綿雪を口に含んだような繊細な溶き玉子の食感が素晴らしい。それでいてコショウのパンチも効いている。

なお、かなりアツアツなので、食す時にはヤケドに注意だ。

・勝手が変わって戸惑いも

中栄を後にして、喫煙所で1服。その後に、私が築地に行く度に寄っていた珈琲岩田でブレンドを一杯。

見覚えのある女性店員さんに、初日の感想を「どうですか?」と尋ねると……「広くなったのは良いけど、疲れちゃって」とほほ笑む。以前の店舗はカウンター席のみの横長の造りだった。人がすれ違えないほどの狭いカウンターで、飲み物はもちろん、サンドウィッチやスパゲティ、カレーなどを作っていた。

新店舗ではコの字型のカウンター、それとは別に壁沿いのカウンター席がある。厨房は壁を隔てた奥だ。当然余裕でスタッフ同士がすれ違えるようになっている。勝手が変わって戸惑いはあるものの、こちらもやはり常連客がすでに利用しており、お客さんの顔を見て安心している様子がうかがえる。

・人情で支え合って

すると、カウンターに座る老夫婦が、「今日って入っちゃダメだったのかしら?」と尋ねる。一般の入場は13日からとなっているのだが、この関係飲食店舗には市場関係者ではなさそうな人が大勢入っていた。この問いに、隠居した仲卸業者の老人が応える。

「いいんだよ、どんどん入ってもらったらいい。その方がイイじゃねえか、にぎわって」

江戸っ子気質のべらんめえ口調で言い放つと高笑い。ここにもまた「昭和の築地」を垣間見ることができた。

各々が戸惑いながらも、人と人とのつながりが市場を支えているように感じられる。築地市場は終わってしまったけど、豊洲市場は確実にその良きものを継承する場になりそうな予感。すべてが新しいはずなのに、どことなく懐かしい。問題はいろいろあるにせよ、働く人たちからはたくましさが伝わってくる。

・今回訪問した店舗の情報

名称 中栄
住所 東京都江東区豊洲6-5-1 水産仲卸売場棟3階18
営業時間 5:00~14:00
定休日 豊洲市場に準ずる

参照元:東京都中央卸売市場
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24


Source: Rocket news Japan

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