ロシアのフェイクアカウント、英のEU離脱投票への介入ツイートも判明

米大統領選への介入工作として注目を集めている、ロシアによるツイッターのフェイク(偽装)アカウント

※参照:ソーシャル有名人「ジェナ」はロシアからの”腹話術”

だが、2700を超すフェイクアカウントが介入していたのは、米大統領選だけではなかった。これに先立つ英国の欧州連合(EU)離脱に関する国民投票(ブレグジット)をめぐっても、これらのフェイクアカウントが介入を試みていたことが明らかになった。

工作の規模はどこまで広がっているのか。英議会も実態調査を進め、ツイッターなどに資料の提出を求めている。

●ツイッターCEOへの手紙

(米議会の)公聴会において、貴社が2752件にのぼるサンクトペテルブルク所在の「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」に関連したアカウントを発見したことが明らかになりました。これを受けて、このうちのいくつかのアカウントは、英国の政治に関する投稿を行っていたという問題も浮上してきました。英国の民主手続きへの、外国勢力によるいかなる介入も、深刻な問題であることは言うまでもありません。

ツイッター、フェイスブック、グーグル3社の幹部が米国の上下両院情報委員会公聴会に招集されたのは11月1日。その2日後、英国下院でフェイクニュース問題の調査に取り組むデジタル・文化・メディア・スポーツ特別委員会のダミアン・コリンズ委員長は、ツイッターCEOのジャック・ドーシー氏にあてて、こんな書簡を送っている。

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ロシアの「トロール(荒らし)工場」と呼ばれるネット工作専門業者「IRA」は、米情報機関やツイッター社などのこれまでの調べで、2752件のツイッターのフェイクアカウントなどにより、米大統領選に介入したと認定されている。

この中に、英国への政治介入に使われたアカウントがあるため、IRAおよび、その他のロシア関連のアカウントのリストを、11月中に同委員会に提出してほしい――コリンズ氏は、ドーシー氏に対して、そう要請しているのだ。

コリンズ氏はこれに先立つ10月19日、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏に対しても、やはり米国で明らかになったロシア(IRA)による購入が明らかになっている政治広告(3393件)やアカウントなどのデータを提出するよう要請する書簡を送っている。

●国民投票を分断する

英ワイアードCNNは、米国で明らかになった2752件のフェイクアカウントの中に、英国のEU離脱国民投票(ブレグジット)でも、分断の火種になるようなツイートをしていたものがあることを確認した、と報じている。

CNNは、このうちの4つのアカウントについて、独自に検証をしている。

ドイツ在住と称してドイツ語のツイートをしていた「ピーター・ローブ(PeterMagLob)」と名乗るアカウントは、国民投票当日の2016年6月23日、突如としてツイートを1時間に20回も連打するようになった、という。

ツイート本文には、「#EUref」「#BrexitInOut」「#BritainInOut」「#BrexitOrNot」といったブレグジット関連のハッシュタグが書き連ねてあるだけだが、コラージュ画像には、EU残留派を揶揄する文言が並んでいた。

例えば、EU残留を主張した当時のキャメロン首相の画像を使った吹き出しには、こうあった。

これはお笑いだ! 奴らは脅かすためにまき散らしたくずネタを本気で信じてるんだ?

また、ボンネットの開いた車の前で、携帯で電話する女性の画像には、EU離脱による影響の指摘を揶揄する、こんな文言もあった。

EUを離脱すれば、翌朝には車の動かなくなります。

CNNが検証した4つのフェイクアカウントは、国民投票当日、同じハッシュタグを使い、数秒単位の間隔で、互いにリツイートを行っていた、という。

またこれとは別に、スコットランドのエジンバラ大学のチームは、やはり2572件のフェイクアカウントのうち、国民投票当日に関連ハッシュタグを使ってツイートしていた38のアカウントを確認した、という。

●「テキサスの愛国者」も

英ワイアードは、29アカウントによる139件のツイートで、ブレグジットや反イスラムに関する内容が含まれていた、と指摘する。

ワイアードは、昨夏の段階ですでに2752件のうちの40件(7500ツイート)について、ロシアとの関連を指摘していたセキュリティベンチャー「ニューナレッジ」の協力で、関連ツイートを検証した。

米国向けにはトランプ氏支持のツイートをしていた、テキサスの愛国者を名乗る「テキサス・ローン・スター(@SouthLoneStar)」(フォロワー数5万3900人超)は英国民投票後の2016年6月、こんなツイートをしていた、という。

ブレグジット(#BrexitVote)が終わった後の英国には、イスラム教徒による国土侵入の一掃を始めてほしいな!

その他のツイートも、いずれも国民投票後のものだという。「ライト・アンド・プラウド(@rightnpr)」というアカウントも、こうツイートしていたという。

英国は多文化主義の牢獄にノーと言った。独立記念日万歳!

「2016年米大統領選候補」というアカウント説明の「ジェブラリ・ブッシュトン(@Jeblary2016)」(フォロワー数8800人超)のツイートはこうだ。

ブレグジット(#Brexit)が(在英エクアドル大使館に身を寄せ続ける)ジュリアン・アサンジュの助けになることを祈ろう! だが、米国がそんなことはさせない気がする。

●米リスト以外にも

ブレグジットへのロシアからの介入疑惑をめぐっては、すでに今回の米ツイッター社のリストに含まれていないアカウントについても、疑問が指摘されてきた。

今後、ツイッター、フェイスブックの英議会への資料提出によって、より深い実態が明らかになる可能性がある。

コリンズ委員長は、英ワイアードの検証をめぐる取材に、こう述べている。

ロシアがコントロールするアカウントは、米国と同様、英国でも政治的に活動していたことが明らかになったと思う。これは氷山の一角だろう。ロシアの組織にリンクしたアカウントが政治的に何をしていたのか、その詳細な調査は、まさに始まったばかりなのだから。

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■新刊『信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体』(朝日新書)6月13日発売。

(2017年11月11日「新聞紙学的」より転載)

Source: http://www.huffingtonpost.jp/feeds/japan/index.xml

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