高島礼子、納棺師役で主演 映画「おみおくり」、2018年3月公開 社会の陰を撮り続けてきた伊藤秀裕監督が「王道」に挑む

高島礼子主演の映画「おみおくり」が2018年3月に公開される。1人の若い女性が納棺師に弟子入りし、その仕事を通じて大切な人の死を乗り越えていく物語だ。

脚本も自ら手がけた伊藤秀裕監督(69)は「ぼくの死生観、人生観が裁かれる作品。ちょっと勇気のいる仕事でした」と話す。

映画「おみおくり」に出演する文音(左)と高島礼子

「子どもの頃、両親を交通事故で亡くした亜衣(文音)は、フラッシュバックする事故の悪夢に苦しめられていた。そんな時、一人の女性納棺師・満島弥生(高島礼子)に出会う。遺体を修復し、きちんとおみおくりができるようにしてあげる仕事をしている女性だった。亜衣は、自分にきちんと向き合うために、その納棺師に弟子入りしようと決意する。様々なおみおくりに接しながら、亜衣は自分の心の闇から徐々に解き放たれてゆく。一方、彼女を暖かく見守る満島にも過去に辛い体験があり、その思いが、この仕事に向かわせていたことを亜衣は知ることで、二人は心の絆を深めてゆく……」

現在クラウドファンディングをしているA-portのページには、こんなふうに映画のあらすじが紹介されている。

納棺師を演じる高島礼子(左)

伊藤監督と言えば、やくざを描いた「棒の哀しみ」(2016年)▽官能小説を映画化した「チャイ・コイ」(2013年)など、人間の欲望や社会の陰ともいうべき部分を題材にした映画が多く、ヒューマンな作品は珍しい。

なぜ、この映画を撮ったのか?尋ねると、伊藤監督自身も「おかしいでしょう?予算もタイトで、現地の協力とか、スポンサーありきとかでやったわけでもない。なんでですかね?」と首をひねった。

「アクションだったり、残酷だったり、ちょっとしたエロチシズムだったり、今まで撮ってきたのは人間の感情の一番とがったところにいっている話ばかりで、反感を持たれることは逆に宣伝のメリットだと思っていた。今回は『なくしたものをどうやったら回復できるか』というテーマに直球で向き合ったんで、最初は僕が本当にできるかという不安もあったんですよね。でもラッシュを見て、間違ってなかったっていうか、やって良かったというか。僕の死生観や人生観が投影されちゃうわけですから、『お前こんなことしか考えていなかったのか』って僕が裁かれる作品。ちょっと勇気がいる仕事でした」

納棺師を演じる高島礼子

映画の原点になったのは、東日本大震災のときに抱いた「喪失感」だという。

「津波で流された家族が何年経っても見つからなかったり、見つかっても顔が見られないような状態で自分の身内とは思えなかったりして、亡くなったことすら受け止められないっていうのが一番大変だと思うんですね。映画の中でも描いているんですけど、子どもが怖がったままでお父さんだと思えなければ、あとあと父親の死をどうやって整理できるのか」

「喪失感自体は永遠に残るけど、亡くなった方をちゃんと悼んで、『あの人はこうだったね』と喪失感の中にクッションを置くことができると、悲しみを悲しみとして、心の中のポケットのようなところに入れておくことができると思うんです。ちゃんと『おみおくり』をするためにギャップを埋める作業のところに納棺師がいる。納棺師はいろんな修羅場を経験してつらい思いをしてきた方が携わっていることが多くて、みんな心の中に何かを持って葬式に立ち会っている。彼女たちが親戚や友だちと同じ目線でかかわれるというのは、人間の心の豊かさというか、人間の文化でしか持ちえないんじゃないか」

伊藤秀裕監督

伊藤監督はこう話しているうちに、自身にも「喪失感」があったことに気づいたという。

「僕は母親っ子だったんですが、母親を24、25歳のときに亡くしたり、弟が10代半ばで自殺したり、身内の理不尽な死がずっとつきまとっていましたね。自分の罪悪感の中で、それに目を背けていたせいなのか、なんでもないときに、ショックがふっとフラッシュバックしてくるときがあるんです。それに気づいたときから、ちょっとずつ人に話すようにしたんですよ。話すことで自分の気持ちをちょっと分かち合ってもらうことになるじゃないですか。僕にも、その根っこはありましたね、確かに」

「おみおくり」は2018年3月から、東京・有楽町スバルでの上映が決まっているが、「1館でも多く上映したい」とクラウドファンディングをすることにした。

映画の99%を撮影したという富山県氷見市のほか、大阪、名古屋、東北の被災地などにも上映館を広げていきたいと考えている。

「映画界のメジャーをやらない、かわった面白そうな企画、というくくりで生きてきた僕としては、今回はある意味じゃ、王道なんですよね。やっとまともになったのかな(笑)高島さんの男前な内面としなやかさのマッチングが、納棺師のキャラクターにあったし、新人の文音とのコラボレーションで、いろいろ編み出せた気がする。葬式って、生きている人の真実が見えるじゃないですか。喪失と分かち合いは全く逆なんだけど、それを一つの言葉で結びつけられるのが、葬式なんですよね。宣伝の人に聞くと、『年配の人向けですよね』と言われることが多いけど、文音が演じる若い納棺師の生き様は、今の若い人たちにもリンクできるものになっているんじゃないかな。一つの人間ドラマとして見てもらえれば、年齢の偏りなく見てもらえる映画だと思う」

クラウドファンディングのページは、https://a-port.asahi.com/projects/omiokuri/

映画「おみおくり」に出演する高島礼子(右)と文音

Source: http://www.huffingtonpost.jp/feeds/japan/index.xml

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