探検、世田谷代田駅

小田急電鉄(以下、小田急)では、小田原線東北沢―世田谷代田間の地下複々線工事を進めており、2018年3月に使用を開始する予定だ。地下化された世田谷代田駅では、2017年3月24日に新しい地上駅舎が完成したので、皆様に御紹介しよう。

■小田急環境ルーム

“新生世田谷代田駅”の目玉は、「小田急環境ルーム」である。小田急はCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の重点分野として、環境に配慮した取り組みを推進しており、それをわかりやすく説明するために設けられた。この駅が選定されたのは、「周りの環境に調和するから」だという。

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太陽光発電の様々な情報を公開するデジタルサイネージ。

デジタルサイネージは、環境の取り組みや東北沢駅、世田谷代田駅の太陽光の発電状況をリアルタイムで公開している。後者については、小田急ホームページからでも確認できる。

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ガイドツアーのみ操作できる運転台。

回生ブレーキの模型は、30000形EXEのリニューアルに伴い、使われなくなった運転台や一部の計器類を活用し、大野工場で製作したという。同車の最高速度は110㎞/hだが、模型は90㎞/hまでとなっている。

実際にワンマスコンハンドルを握ってみる。ブレーキをかけると発電して、ほかの車両がその電気を使用する様子をパネルでわかりやすく紹介している。なお、非常ブレーキをかけると、回生電力は発生しない。

この操作は2017年4月から週2日実施されるガイドツアーの参加者のみ体験できる。

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2つの車輪とシールドマシンの模型が並ぶ。

トイレ側には、乗り心地の向上に貢献する防音車輪と、以前使われていた非防音車輪が並べており、ガイドツアーではハンマーで車輪をたたく打音検査ができる。

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様々な模型を展示し、わかりやすく紹介している。

このほか、当駅の模型、小田原線東北沢―世田谷代田間の急行線トンネルを採掘したシールドマシンの模型、同区間の複々線の概要を紹介する模型が展示されている。

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円形のトップライト。屋根上にはソーラーパネルが敷かれている。

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地下2階から光ダクトを眺める。

隣のコンコースにはトップライトを設置し、自然採光を取り入れているほか、駅舎の外では地下2階の緩行線ホーム(同ホーム完成までのあいだ、各駅停車は地下3階ホームより発車)に自然採光を取り入れるための光ダクトを設置している。太陽光をまんべんなく受けるため、南向き45度に傾けているそうだ。

■ゆったり過ぎるトイレ

トイレはトイレ専門の設計事務所ゴンドラが手掛け、広々とした空間を活かし、男性用、女性用のほか、男女共用の多目的トイレ、ファミリートイレを設置した。

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衝立つきの男性用小便器。

男性用は小便器が3つあり、”間隔を詰めたら、もう1つ設置できるのではないか?”とお思いの方がいるだろう。この駅の1日平均乗降人員は7,886人(2015年度)で、小田原線の都内駅では南新宿、東北沢に次いで少ない。それを逆手にとり、空間を強調してゆとりを持たせたレイアウトにしたという。

個室は男女用とも3つあり、いずれも1つは乳児用の椅子やベビーベッドなどを備え、広くとってある。

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ファミリートイレは、採光窓に現役ロマンスカーのイラストが貼付された。

注目はファミリートイレで、中に幼児用の小用便器及び洋式トイレ、大人用の洋式トイレなどを設置している。当初、子供専用のトイレも検討されていたが、家族連れが多いこと、一緒に入れるほうがいいという理由で見送られた。

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女性用トイレの採光窓。

トイレ全般の特長が2つあり、まず大きな採光窓を設けたことで、明るく開放感のある雰囲気を演出している。

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石鹸は廃食油、軍手は制服や作業着をリサイクルした。

次に石鹸は小田急グループの運営する施設や飲食店から回収した廃食油をリサイクルしたこと。広報によると、ほかに制服や作業着はペットボトル、軍手は制服や作業着をそれぞれリサイクルしているという。

■電力回生エレベーター

世田谷代田駅のエレベーターは、回生電力エレベーターを採用し、バッテリーに蓄電した回生電力と通常電力を併用することで、約20%の消費電力を削減している。

一般的なエレベーターは、人が乗る部分の「かご室」とおもりがつるべ式で連結し、おもりの重力により少ない消費電力で動かすことができる。しかし、モーターで速度を制御する際、熱を放出する難点があった。

回生電力エレベーターは、熱を電気に変えてバッテリーに蓄電し、次に使用する際の電力に使われるほか、停電時はバッテリーのみで約10分間の応急低速運転ができるという。

■空調設備の一部は地中熱ヒートポンプシステムを採用

空調設備の一部は東北沢駅も含め、日本の地下トンネルでは初めて地中熱ヒートポンプシステムを採用した。

一般的な冷房は室外機から50℃の熱を大気に放出し、地球温暖化を招く一因となってしまったが、地中熱ヒートポンプシステムの冷房は、地下3階の下に敷設された水平型地中熱交換器(熱源を取り入れるコイル)から低温(20~30℃)で採熱し、高温(25~35℃)で地中へ放熱する。

なお、世田谷代田駅の地中熱ヒートポンプシステムは、環境省の地球温暖化対策技術開発等事業として、補助金を受けた。

■電力使用量の抑制に貢献するエスカレーターと券売機

1階と地下2階を結ぶエスカレーターは人感知式で、無人の状況が一定時間続いた場合は、自動的にストップする。

券売機は省電力型を採用し、約3分間操作がない場合、エコモードとなってタッチパネル画面が消灯する。小田急が2013年度に調査したところ、全駅229台の1か月の節電効果は約4,000kWh(キロワットアワー)(電力量)で、一般家庭の消費電力としては13軒分に相当するという。

環境に関する取り組みは、ほかの鉄道事業者でも実践している。しかし、それを”隅から隅まで強調”したのは小田急が初めてだろう。これからも”人と地球にやさしい”取り組みに期待したい。

【取材協力:小田急電鉄】
Source: http://www.huffingtonpost.jp/feeds/japan/index.xml

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